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ニキビが出来てしまったら 炎症を鎮静し、跡を残さないためには正しい“治療”と“ケア”が必要です

ニキビができると、鏡を見るたびに憂鬱な気分になる方も多いでしょう。
気になってつい患部に触ったり、自己流のケアで悪化させるケースも少なくありません。
ニキビが発生した肌と、どのようにつき合うべきか考えてみましょう。


まずは専門医の元で早めの治療を!

ニキビの患者さんは、ほとんどの方が炎症が悪化してから初めて医療機関を訪れます。
風邪を引いたらすぐ医者にかかる方は多いはずなのに、考えてみれば不思議な話ですね。
風邪をこじらせて肺炎が発症すると、治療にも時間がかかります。
これと同じように、ニキビも炎症が悪化してからでは、治療に時間がかかったり、ニキビ跡が残る可能性も。
悪化しないうちに、本来は一刻も早く専門医の下を訪れるのが正解です。

クリニックでできる治療(1) 保険の範囲で可能な治療

症状にもよりますが、ニキビは皮膚疾患の一種で、保険での治療が可能です。
私のクリニックでは下記の治療を行っています。

外用薬による治療

ニキビの患者さんには、主にクリーム状の塗り薬を処方します。ポツンと赤い炎症が目立つニキビには、アクネ菌を抑制する抗炎症剤を。炎症に加えて、角化異常から毛穴が詰まりやすい症状の場合は、ターンオーバーを整える外用薬を用います。いずれも医師の指導の下、正しい容量と使い方を守ることが必要です。

内服薬による治療

外用薬と併用して、アクネ菌に作用する抗生物質の服用をすすめる場合があります。また、食生活が不規則な方には、合わせてビタミンB、C群を処方することも。こちらも服用のさいは、医師の指導の下、正しい容量と用法を守ってください。

専門医が“つぶす”治療も

毛穴の内部に膿や炎症性の物質がとどまっていると、なかなか炎症が治まりません。この場合、専用の器具を使って圧出することがあります。いわば“お医者さんがつぶす”治療ですね。
面疱圧出器(めんぽうあっしゅつき)と呼ばれる棒状の器具は、エッジに刃を備えています。適度な圧をかけることで、周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えながら、膿を排出できるのが特徴です。医師が患部の症状を判断し、清潔に保ったうえで行う分には問題ありません。しかし、ご自身で不用意にニキビをつぶすのは避けましょう。雑菌が入って化膿したり、跡が残ってしまう可能性もあるからです。

クリニックでできる治療(2) 自費で受けられる施術

クリニックによっては、保険適用外の施術を実施している場合があります。
各クリニックごとに施術法が違い、自費診療なので価格もまちまちです。
以下は、患者さんのニーズや効果を考え合わせて、私が採用している方法です。

ケミカルピーリング

グリコール酸などの力で不要な角質を穏やかに取り去る施術です。グリコール酸などを肌の上に塗布し、数分間おいたのちに中和します。毛穴の詰まりを取り除いてニキビの悪化を防ぐほか、すべすべの質感や肌がワントーン明るくなる実感が得られます。
さらに、近年グリコール酸には、肌のターンオーバーを正常に促す働きがあることが証明されました。新しい肌への生まれ変わりを助けるため、炎症後の肌再生にも役立ちそうですね。
ただし、グリコール酸の濃度や中和のタイミングは、その方の肌によって違います。また炎症がひどい場合は、刺激を感じることもあるため、ピーリングは必ず専門医の下で行いましょう。
費用は、1回9,000〜10,000円程度の施設が多いかと思いますが、手法や使用する薬剤、施設によって5,000〜20,000円のところもあるようです。
回数としては、2週間に1回施術を受け、全部で6〜8回程度受けるのが一つの目安です。

光治療〜プラズマ波によるニキビ治療

シミ取りレーザーやフォトフェイシャル等、一定周波の光を照射して、肌悩みの改善や質感の向上を目指す治療を“光治療”と呼びます。光治療の種類は沢山ありますが、特にニキビ対策として注目されるのが「アイクリア」です。2種類のプラズマ波を照射出来るのが特徴ですね。
1つめのブルーの光は305〜420nmの波長で、炎症の原因となるアクネ菌を選択的に殺菌し、炎症の悪化を抑える働きが期待できます。2つめの近赤外線は850〜890nmの波長で、肌の血流を促す働きが認められています。さらに線維芽細胞の活性化を促し、肌をふっくらと保つ働きも。
施術中は、まるで温かい光のシャワーを浴びているような感じです。痛みはなく、当日そのままメイクして帰宅できます。症状によって個人差はありますが、15〜20分くらいの施術を週2回、4週間くらい続けるのが1つの目安でしょう。

費用は、1回5,000〜6,000円程度の施設が多いかと思います。
回数としては、1週間に1〜2回施術を受け、全部で8回程度受けるのが一つの目安です。

専門医の手による“治療”で炎症が鎮静したら、今度はご自身で行うケアを見直す番です。
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