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各パーツのお悩み シワ編 気になる2大悩みを何とかしたい!「シワ」編

たった1本の線でありながら、見た目印象を老けさせてしまう“シワ”。
ひと口にシワといっても、顔の部位によってそれぞれ原因が違うのをご存じでしょうか?
この項目では、シワ発生の要因と、解決法について考えてみたいと思います。

スキンケアの選び方&塗り方

表情筋が何度も同じ動作を繰り返した結果、皮膚にクセのような折ジワがつき、やがて定着してしまったシワです。眉間のシワや、目尻から放射状に伸びたいわゆる“カラスの足跡”がこれにあたります。表情筋が関係するためくっきりと刻まれやすく、解消には一歩踏み込んだアプローチが必要です。

肌が乾燥すると、三角形に整っているはずの“キメ”が乱れてきます。本来ふっくらと立体的なキメが徐々に平坦になり、やがて三角形が崩れて一定の方向に流れ始めます。このさざ波のような細かなシワが、最初に現れるのは目元。深いシワとして定着する前に、保湿の徹底が必要です。

加齢と共に肌を支える真皮層の構造が乱れ、肌表面もハリ感を失って、顔全体が下垂してきます。また、筋肉の衰えとともに口角が下がってくる傾向も。これらの要因が重なって、下垂した皮膚が口の脇にたまり、深い“ほうれい線”として際立たせてしまうのです。解消のためには、肌全体のハリ感を呼び覚ますケアが大切です。

どんな風にケアしたら良いのでしょう?

スキンケアの選び方&塗り方

シワの第一歩である“キメの乱れ”“目の下の小ジワ”に対しては、まず保湿の徹底を心がけましょう。キメの乱れの大きな要因は、ズバリ“乾燥”です。角質層が潤いで十分に満たされると、肌表面もふっくらと整い、初期段階のシワなら目立ちにくくなります。

シワにお悩みの患者さんからよく「ハリ感回復のためには、コラーゲンやヒアルロン酸配合の化粧品を使ったほうが良いでしょうか?」というご質問を頂くことがあります。医学的な観点でいうなら「効く」とまでは言い切れない……というのが正直なところです。ただし“保湿”と“肌を構成する成分を補給する”という意味においては、決してマイナスではないと考えています。

同じ理由で、シワ専用アイケアを使用するのも、もちろん良いでしょう。
ただし、まずはその前に、普段お使いの化粧品で“隙間なくしっかり保湿すること”を心がけてみて下さい。特に真っ先にシワが目立ちやすい“目元”は、皮膚が薄く皮脂腺も少ないため、乾燥しやすい傾向があります(同時に保湿ケアを塗り忘れしやすいエリアでもあります)。乳液やクリームを塗るさいに、目のキワまでしっかり保湿するだけでも、小ジワの解消に差がつくはずです。保湿感が足りないようなら、重ねづけしてみましょう。

シワ改善が期待できる成分“レチノイン酸”と“レチノール

シワに働きかける成分として、“レチノイン酸”及び“レチノール”が知られています。
レチノイン酸はビタミンAの一種で、皮膚科等で処方される薬剤です。肌のターンオーバーを活性化し、不要な角質の剥離を促すと同時に細胞の分裂を促します。新しい肌への生まれ変わりを助け、シワをふっくらと持ち上げるわけですね。
しかしレチノイン酸は、肌質によって赤みやヒリヒリ感を感じる場合があります。連用する場合は、医師の指導のもとで正しい用法・容量を守りましょう。

このレチノイン酸の安定性を高めた成分が“レチノール”です。化粧品への配合が認められており、シワ専用のスキンケアに使われることも多いですね。薬剤のレチノイン酸に比べると効果は穏やかですが、その分毎日使えるという利点があります。シワが気になる方は、このような化粧品を取り入れてみるのも一案でしょう。

初期の小ジワはピーリングで解決する場合も

グリコール酸やAHA等の“酸”によって、不要な角質を穏やかに取り去る施術を“ケミカルピーリング”といいます。
主にニキビの患者さんに行うことが多いのですが、肌表面がなめらかに整うことで、
キメの乱れによって発生した初期段階のシワが改善されるケースもあります。
また、ピーリングに使用するグリコール酸には、肌の生まれ変わりを促す作用も報告されています。肌を内側からふっくら保ち、シワを改善する働きも期待出来るでしょう。ただし真皮層に深く働きかける施術ではありませんので、くっきり刻まれたシワの解消は難しいといえます。

深いシワには注入法という選択枝も

それでは、深く刻まれたシワに対しては、どのような解消法が存在するのでしょうか? 
美容クリニック等で一般的なのが“ヒアルロン酸注射”です。これはシワを物理的に埋めてしまう施術ですね。
前述の通り、年齢とともに徐々に筋肉が衰え、真皮も厚みを失っていきます。肌の土台とも言うべき部分が痩せて部分的に空洞化すると、当然上に乗っている皮膚も凹んでしまいます。これが“シワ”の状態です。この空洞化した部分にヒアルロン酸を注射して、内側からふっくらと持ち上げるわけです。
施術としてはテープやクリームで麻酔をしたのち、シワ部位に注射器でヒアルロン酸を注入していきます。数分で終了するうえに、当日メイクをして帰宅するのも可能です。ヒアルロン酸はもともと生体内に存在する物質のため、時間と共に体内で分解され吸収されていきます。持続効果には個人差がありますが、だいたい半年くらいで元の状態に戻ると言われています。ヒアルロン酸注射は深いシワの改善に一定の効果を発揮しますが、自費診療なのでクリニックによって費用がまちまちです。さらに効果は一定期間なので、継続的な治療が必要になります。

表情筋が原因で発生した深いシワを改善する施術が、“ボトックス注入”です。
ボトックスとは“A型ボツリヌス菌毒素”を無毒化した薬剤で、もともと筋肉系の治療に用いられていました。筋肉を動かす神経伝達物質をブロックする働きが認められ、シワ部位の筋肉の動きを一時的に麻痺させてしまうわけです。眉間や目尻など、表情筋の動きによって発生したシワに対して、一定の効果が期待できます。ボトックスも時間の経過とともに徐々に体内で分解され吸収されるのが特徴です。個人差もありますが、効果はおよそ半年程度と言われています。

ただし、どの部位に、どのくらいの量を注入するかは、医師の側にも熟練した技術が必要とされます。またヒアルロン酸注入と同じく自費診療ですので、ボトックス注入もクリニックによって費用がまちまちです。さらに効果を継続したいなら、定期的に施術を繰り返すことが必要です。

以上、深いシワの解決法として、2つの方法をご紹介しました。
もし実際に体験するさいは、納得のいくまで医師のカウンセリングを受けることをオススメします。
効果だけでなくリスクについてもきちんと頭に入れ、
必要であればセカンドオピニオンを求めるのも1つの方法でしょう。

>>気になる2大悩みを何とかしたい!「たるみ」編