TOP > ニキビの悩みに専門家の視点で答える「内科医が語る“肌のハナシ”」 > ニキビ編【ニキビになりにくい生活習慣】

毎日の生活習慣を見直して〈ライフスタイル編〉ニキビの解消には、スキンケアや生活習慣の見直しが大切です。

ニキビの悪化を防ぎ、再発を防ぐために、
日々の生活習慣を見直しましょう。
睡眠、食事、運動が大切です。

(5)良質な睡眠を取りましょう

睡眠不足は肌荒れの要因!

睡眠不足気味の時に、ニキビや敏感肌等の肌トラブルを経験したことはありませんか?
人間の体は眠っている間に、細胞や組織に昼間の間蓄積したダメージを修復しています。
特に皮膚は夜間の睡眠中に代謝するため、睡眠が不足すると新しい肌への生まれ変わりがスムーズに行われません。
当然、バリア機能も乱れやすくなります。
また睡眠不足はホルモンのバランスを乱す大きな要因の1つであり、ニキビを誘発しやすくなります。


何時に眠るのが理想的?

夜の22:00〜深夜2:00は、通称“シンデレラタイム”と呼ばれています。美肌のためにはこの時間帯の睡眠が推奨されていますが、いったい何故でしょうか? カギを握るのは、“成長ホルモン”です。その名の通り赤ちゃんを成長させるホルモンで、成人してからは細胞の修復に関係しています。皮膚においては新陳代謝を促す役割を担い、新しい肌への生まれ変わりを助けます。この成長ホルモンの分泌ピークが夜の22:00〜深夜2:00と言われているのです。

この時間帯に睡眠が取れないと、成長ホルモンの分泌が不十分となり、当然肌の修復や新陳代謝が充分に行われません。バリア機能が乱れてデリケート肌に傾いたり、ターンオーバーのリズムが滞ってくすみ感を引き起こしたりします。また睡眠不足や眠りが浅い場合にはステロイドホルモンが分泌されやすくなることも、ニキビ悪化の要因と言われています。


睡眠のリズムを大切に

とはいえ、多忙な現代人が22:00に眠るのは、なかなか難しいのも事実でしょう。
私は患者さんに「遅くとも23:00までには布団に入るのが理想ですよ」とお伝えしています。
それさえも難しいという方は、なるべく睡眠のリズムを一定に保つように心がけましょう。
日によって就寝時間や起床時間がまちまちだと、体内時計の混乱を招き、ホルモンのバランスが乱れやすくなります。
やむなく遅い時間に就寝する方は、起床時間を一定に保つなど、体内時計の“活動”と“修復”のバランスを一定に保つ工夫をしてみて下さい。

(6)食事のバランスに気を配りましょう

脂質、糖質の取りすぎに注意!

チョコレートを食べてニキビが出来た! というのはよく聞く話ですね。体内に脂質や糖質が増えると、皮脂腺を刺激するという説がありますが、実際のところはよく分かっていません。ただ、患者さんと接した経験上、油っこいものや甘い物を控えていただくと、ニキビの炎症が改善するケースが見られるのも事実です。
加えて是非、食物繊維の摂取も積極的に。食物繊維は脂質の代謝をサポートすると同時に、便秘の改善にも役立ちます。次の項目で詳しく述べますが、便秘もニキビの要因の1つ。日常的に野菜や果物を積極的に摂取しましょう。水分と食物繊維が含まれており、ビタミンCも豊富なのでお肌に嬉しい食べ物です。

(7)便秘をしていませんか?

肌トラブルが生じた患者さんを診察する際、私は必ず「お通じは順調ですか?」と伺っています。以下はあくまで個人的な経験ですが、便秘の方はニキビをはじめ、肌荒れが発生しやすい傾向にあるようです。
便秘をすると、腸内細菌が消化器内の食物を発酵させ、有害物質を産生します。これが体内に吸収され、毛穴を通して排出する際にニキビの一因となるという説もあります。がしかし、これも現在のところはよく分かっていません。
いずれにせよ、日頃から食物繊維やヨーグルトなどの乳酸菌を積極的に採ることは、体調全般を健やかに保つためにも有効です。さらに、便秘解消と体調維持に大切なのが、次の項目でご紹介する“運動”です。

(8)適度な運動も必要です

適度な運動を日常的に行うことは、心身の健康を保つうえでも大変重要です。
一般的には、1日30分以上の有酸素運動が推奨されています。有酸素運動には、脂質と糖質の代謝を改善する働きが期待できるうえに、腸のぜん動を促す働きもあり、便秘の解消にも一役買ってくれるでしょう。さらに体を動かすこと自体が、ストレスの解消に役立つ点も見逃せません。
スポーツクラブや運動系のサークル活動に参加するのはもちろん、通勤の際に一駅手前で降りて歩く、近所への買い物に徒歩を利用する、などでも良いでしょう。あくまで“無理をせず”“楽しんで続けられる”ことが大切です。

私たちの体は、毎日の食事や睡眠と深い関わりを持っています。
日々の生活習慣の積み重ねこそが、心身をすこやかに保ち、ひいては美しい肌を育むことにも繋がります。