TOP > シミ・くすみの悩みに専門家の視点で答える「内科医が語る“肌のハナシ”」 > シミ・くすみ編【シミを作らないためには?】

シミを作らないためには? 紫外線カットがとにかく大事!

どのシミも、紫外線にあたることで濃くなったり、大きくなったりします。
UVケアを365日、徹底することがまずは大切。
とはいえ、日焼け止めは本当にいろいろな種類があって、迷ってしまいますよね。
選び方の基準を2つご紹介します。

(1)ある程度値段の高いものを選ぶ

日焼け止めは、肌があまり強くない方ほど、高額なものを使ったほうがよいでしょう。1本3000〜5000円が目安です。もっと高くてもよいのですが、毎日使うものなので、お財布と折り合いをつけてください。なぜ高価なもののほうがよいのでしょうか。化粧品を作っている立場から申し上げますと、日焼け止めというのは、実に高い技術が必要なものなのです。

ここで少し、日焼け止めの紫外線カット成分について触れておきますね。 紫外線カット成分は大きく2種類あり、それぞれ「紫外線吸収剤」「散乱剤」と呼ばれています。 紫外線吸収剤はその名の通り、紫外線を吸収することで肌を日焼けから守る成分。 ただ、この吸収剤という化学物質そのものが肌に負担をかけ、皮膚トラブルの原因になる可能性があったのですが、最近の技術を使った日焼け止めはそれらが改善され、肌にやさしくかつ効果が高いものとなってきています。

一方散乱剤は、紫外線を物理的に跳ね返す粒子状の成分です。酸化チタン・酸化亜鉛が代表的です。以前のものは、成分の形状が肌を傷つけやすい、光を乱反射させるため顔だけ白く浮いて見える、など使いにくい部分があったのですが、こちらもやはり技術が進歩しており、そのような問題もなくなってきています。

以上のように、紫外線吸収剤、散乱剤ともに、肌の負担とならないための特殊な工夫を施す必要があります。この技術はとても高度であり、特許を取っているメーカーさんも多数。ハイレベルな技術で作られた、肌の負担を最小限にしつつ、しっかり紫外線をブロックする日焼け止めは、必然的に高額になってしまうのです。

解説図

(2)SPF・PAは高数値のものを選ぶ

SPF・PAは、高数値のもの、できればSPF50・PA+++が良いでしょう。
1日のうちに何度も塗りなおすことは、現実的に難しいからです。
屋内ならUVケアは必要ないと思っている方も多くいらっしゃいますが、屋内にも紫外線は入ってきます。
朝のスキンケアの仕上げには日焼け止め、という習慣をぜひつけていただきたいものです。

SPF値・PA値とは?

解説図
SPF値・・・

UVB(紫外線B波)を防ぐ度合いを示したもの。
例えばSPF15は、「日焼け止めをつけずに外に1時間いたときにUVBによって受けるダメージと、同じくらいのダメージを受けるまでに15時間かかる」ほどのUVBカット効果があることを示しています。UVBは、日に当たったときの表皮の炎症(軽いやけど状態)の原因であり、長期的には皮膚がんのリスクを高めるとも言われています。

PA値・・・

UVA(紫外線A波)を防ぐ度合いを示したもの。
弱いモノから強いモノまで+〜++++の四段階で表示されます。UVAは、浴びてすぐにはダメージが現れにくいのですが、真皮まで到達するため、長期的にはシミ・しわ・ソバカス・たるみなどといった肌トラブルを引き起こす原因となります。

高数値の日焼け止めはお肌に悪いと言われることもありますが…?

紫外線吸収剤、あるいは散乱剤として、肌に負担の大きい成分が多量に使われている場合、「高数値の日焼け止め」を使うことは確かに肌にダメージを与えます。しかし、(1)ある程度値段の高いものを選ぶの章でも申し上げたように、きちんと工夫した安全性の高い成分を使っていれば、高数値だから肌に悪いということはありません。むしろ、低い数値の日焼け止めで日差しの強いところに長時間いる方が、肌にとってはマイナスだと言えます。使うシーンにあわせて日焼け止めも使い分けるようにしてみてくださいね。

美白化粧品を朝晩使って

美白化粧品は何をしてくれるのでしょうか。美白化粧品の仕事は基本的に、シミの防止。
メラノサイトの過剰な活性を抑えてメラニンが作られすぎないようにする、できてしまったメラニンを還元しシミが薄くなるようにする、ターンオーバーを整えることで肌の外にメラニンを排出しやすくする、などの働きかけがあります。
よく、夜だけ美白コスメを使う、という方がいらっしゃいますが、やはり朝晩使ったほうがよいでしょう。
美白成分に限らずですが、長く安定的に注がれ続けることで、機能が発揮されやすくなるからです。
またほとんどの方は、使用量が少なすぎるように思います。
適量を使ってこそ効果が出るように作られているので、もったいないと思わず、適量を使うよう心がけましょう。

シミを増やさないための食事

これさえ摂ればシミができない、という特効薬のような栄養素はありませんが、ビタミン類はやはり大切です。食物繊維も、体内の老廃物をデトックスしてくれるので心がけて摂りたいものです。抗酸化力の高い成分、食材を摂り、体の中から酸化を防ぐことを心がけましょう。食べる物の「油分の質」にも注意してください。
〈ニキビ〉の記事の〈ニキビになりにくい生活習慣〉もぜひ参考にしてくださいね。

シミを増やさないための食事

ビタミンCを多く含む食材 ●イチゴ10粒(約350g):110mg ●レモン3個(果汁約100g):60mg ●キウイ2個(可食部約200g):138mg ●ピーマン2個(可食部約100g):74mgメラニンの還元作用があるビタミンCは、できれば1日1000〜2000mgを目標に摂るのが理想です。
このとき、1日のうちで数回に分けて摂ることがポイント。
一気に摂ると、尿といっしょに流れてしまうからです。
また、体の中で活性酸素を退治してくれるビタミンA、Eもあわせて摂りましょう。これらは「ビタミンエース(ACE)」と呼ばれるほど美肌に効果的と言われています。

油分

「オメガ3系の油」という言葉を聞いたことはありませんか?
食べ物に含まれる油は、「脂肪酸」という成分でできていて、この脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
後者の不飽和脂肪酸は、さらにオメガ3系、6系、9系に分けられます。

このうちオメガ3系は、簡単に言えば「体にいい油」。
丈夫な細胞膜を作り、血栓をできにくくしたり高コレステロールを防いだりといった働きが知られています。
炎症やアレルギーを抑えるともいわれています。
具体的には、サケや青魚に含まれるDHAやEPA、亜麻仁油やシソ油などがそれにあたります。

一方、要注意なのがコーン油、ゴマ油、菜種油などのオメガ6系。
摂りすぎると高脂血症を招き、アレルギーなどを誘発しやすいのですが、現代人の食事にはオメガ6系が多用されています。

このオメガ3とオメガ6の摂取量のバランスが崩れると、肌や体が炎症に弱くなり、アレルギーが起こりやすいといわれています。
美肌や健康のためには、オメガ6系よりオメガ3系の油が多くなるような食生活が理想的。
オメガ3系を多く摂るというより、オメガ6系の摂取を控え、油分全般を減らすことを心がけましょう。

ちなみにオメガ9系の代表はオリーブオイル。
加熱しても酸化しにくく、比較的体に害が少ない中立的な油です。