老化の原因+解決法3 血流の低下は、あらゆる老化サインの源です

体全体から“老化”という現象を考える場合に、見逃せないのが“血流”の問題です。
内科においては、高脂血症や糖尿病など、
年齢とともに気になる疾患の多くは“血流”が鍵を握っています。
この項目では、肌老化と血流の関係について、ひも解いていきましょう。

全身の細胞は、血流から栄養や酸素を得ています

私たちの全身には網目のように血管が張り巡らされています。
心臓から手足の末端に向けて“動脈”が走り、新鮮な酸素や栄養素を送り届けます。
全身の細胞は血管からそれらを吸収し、生命活動を行うわけですね。
反対に老廃物や不要な水分は、細胞から“静脈”に排出されます。
この汚れた血液は腎臓等でろ過されたのちに、再び心臓に戻ります。
つまり、血管は私たちが生命を維持するために欠かせない、酸素や栄養素の“パイプライン”といえます。
血流が滞ると、全身の細胞に酸素や栄養素が行き渡りにくくなり、臓器の活動も衰えてしまうのです。

血流が全身に巡る仕組みとは?

血管は“平滑筋(へいかつきん)”という筋肉で構成されています。
平滑筋は不随意筋(ふずいいきん)の一種で、弾力性にすぐれ、自在に収縮できるのが特徴です。
心臓のポンプ作用で血液が送り出されると、血管は圧力によって一時的にふくらみます。
元の大きさに縮もうとしたとき、血管内に存在する弁によって、血液が前に進むんですね。
この繰り返しによって、全身に血液が巡ります。

しなやかな血管
老化した血管

しかし、加齢とともに、徐々に血管は弾力性―――つまり、“しなやかさ”を失います。
酸化ストレスやコレステロールの沈着によって、まず血管内膜に障害が発生し、そこに脂の塊及びカルシウムが付着することで、血管は徐々に硬さを増していきます。カチカチに硬くなってしまった状態が、いわゆる“動脈硬化”の症状ですね。
ゴムホースに例えてみましょう。新品のゴムホースはしなやかで、内部を水がスムーズに流れていきます。たとえ曲線の部分でも、引っかかることなく水が流れていくでしょう。ところが、日光の下で長期間放置されたゴムホースは、カチカチに硬くなってしまいます。すると、水の流れが滞ったり、時には途中でホースが破損してしまうこともあります。
これと同じように、血管がしなやかさを失うと、思うように収縮出来ず水分をはじめ酸素や栄養素が流れにくい状態に陥ります。硬くなったゴムホースと同じく、血管自体が途中で損傷するケースもあるでしょう。このような状態では、体全体の機能に悪い影響が生じてしまいます。もちろん、“顔”も例外ではありません。次の項目では“顔”と“血流”の関係について詳しく述べたいと思います。

血管をしなやかに保つことで見た目年齢に差が

血管の図

顔全体にも、体と同じように動脈、静脈が張り巡らされています。さらにそこから伸びる無数の毛細血管を通じて、肌細胞は酸素や栄養素を吸収しているわけです。血流が低下すると、当然充分な酸素や栄養が行き渡らず、肌の生まれ変わりにも悪影響を及ぼすと考えられます。
さらに顔の場合、血液のめぐりは直接的に“見た目の印象”にも関係しています。睡眠不足の時や寒い場所で過ごした時に、顔色が悪くなってしまった経験はありませんか? これは血液中の赤血球が、角質層を通して透けて見えるためです。血流が低下すると、当然肌色もトーンダウンしてしまいます。このような意味においても、血流は見た目年齢を左右する存在といえます。

血管の老化はいつ頃から始まる?

医学的には、血管の老化は、実は10代後半から始まると言われています。
これは、人が生きるために“呼吸”することが不可欠な以上、
体内の細胞は常に“酸化ストレス”にさらされているからです。
動脈硬化の状態まではいかなくとも、酸化ストレスで徐々に血管はダメージを蓄積していきます。
年齢とともに血流が低下する要因の1つと考えられています。
このような血管自体の老化に加え、特に女性に多い“冷え”も、血流低下の要因です。
冬場はもちろんですが、夏場でも注意しなくてはなりません。
空調の効いた室内で素足や肌を露出した衣服で過ごしていると、
気づかぬうちに血流の低下を招いている可能性があります。

血流を促すための食&マッサージ

血管をしなやかに保つために、大切なのは食生活のバランスです。
油っこい食事などコレステロールの過度な摂取を避け、“サラサラ血”を保つように心がけましょう。
また飲酒、喫煙等は、血管老化の元となる“酸化ストレス”を引き起こす要因ですので、
なるべく避けたほうが良いでしょう。
これらの内的ケアと同時に、日々の生活に血流を促す工夫を取り入れるのもオススメです。
次の項目からは、自宅で簡単にできる血流UPの方法をご紹介したいと思います。

1
耳たぶを握って
顔全体の血流をUP
顔をマッサージする前に、まずは耳たぶをぎゅっと握り、パッと離します。顔周りの血流が促され、2〜3回繰り返すことで顔がポカポカしてくるのを実感できるはずです。
2
指のすべりを良くする
クリームやジェルを塗布
肌全体にジェルやクリームなどをなじませます。摩擦を軽減する役割と同時に、保湿作用もあって一石二鳥です。専用のマッサージクリームがない場合は、普段お使いの乳液などをなじませましょう。
3
指の腹を使って
顔の中央から外側へ
顔の中心から外側に向けて軽く指をすべらせます。ゴシゴシこすらずに、やさしいタッチを心がけましょう。耳の付け根に向けて流していくのがポイントです。
4
顔の下から上へ
らせんを描くように
次に顔の下から上へ、クルクルとらせんを描くようにマッサージします。中指の腹を使い、やさしいタッチを心がけます。頬骨の上や口角など、コリを感じやすい部分はていねいにほぐしていきましょう。
5
眉骨から額にかけて
押し上げるように
眉骨の下に指を添え、頭の重心をやや前に傾ける気持ちで、頭の重みを利用してグーッと眉骨のラインをプッシュします。そのまま額を通り、髪の生え際まで指をすべらせます。この動作を4〜5回繰り返し、コリやすい目元や眉間を和らげます。
6
仕上げに頭皮全体を
じんわりほぐす
指の腹で両側から頭皮を支え、そのまま頭皮を動かすようにマッサージします。指の位置を変え、気持ちいいと思う部分を順次ほぐしていきましょう。特に頭頂部は血管の末梢にあたる部分ですので、ていねいにほぐします。

足や首もとの保温も大切に

足湯で末端の温めを 足湯

心臓からもっとも遠く、体の末梢にあたる足は、血流が届きにくい部分です。特に女性は夏でも手足の冷えを実感する方が多いようですね。本来はお風呂にじっくりつかる半身浴が有効ですが、手軽に実践するなら“足湯”も良いでしょう。
洗面器にお湯を張り、足先を10〜15分程度浸して温めます。
末端に血流がきちんと巡ると、全身がポカポカしてくるのを実感できます。足湯をするさいは、お湯にアロマオイルなどを3〜4滴たらすと、蒸気とともに心地よい香りが立ちのぼってリラックス感も高まります。

首もとは熱コントロールの要 首もと

太い頸動脈が走る首もとは、体と頭部を繋ぐ“血流の要所”といえます。古くから首もとは体温調整の要とも考えられていますね。寒い季節にマフラーで保護して風邪を予防したり、暑い季節の熱中症対策として保冷剤で冷やした経験がある方も多いのではないでしょうか。
首もとは、顔を巡る血流の要でもあります。寒くて血流が低下しがちな時は、是非首もとの保護を心がけてください。また暑い季節であっても、特に女性の方に注意していただきたいのが“空調冷え”です。空調の直下で襟もとのあいた服で過ごしていると、気づかない間に血流低下を助長している可能性もあります。薄手のストール等を用意して、室内の温度に合わせて調整すると良いでしょう。

血流は私たちの生命活動の要であり、肌老化にも深く関係しています。
日々の生活に、血管を健やかに保ち、さらに血流を促す工夫を上手に取り入れましょう。

>>見た目印象に影響を及ぼす“光老化”