老化の原因+解決法4 “光老化”は、老化印象を際立ててしまいます。

今まで述べてきた老化の要因は、加齢とともに誰にでも起こる“自然老化”です。
この自然老化に加え、老化にはもう1種類“光老化”と呼ばれるものが存在します。
見た目の印象を顕著に変化させ、
特に肌に対して深刻な影響をもたらす“光老化”とはどんなものでしょう?

紫外線が肌にもたらす作用とは

紫外線による肌ダメージというと、“シミ”を思い浮かべる方が多いかもしれません。
確かに紫外線はメラニンの生成を促す大きな要因の1つです。
同時に実は紫外線には真皮層のコラーゲンを劣化させたり、線維芽細胞自体にダメージを与える働きがあります。
この結果、本来自然老化で発生する以上の深刻な“シワ”や“たるみ”等を引き起こしてしまうのです。この紫外線による老化現象を“光老化”と呼んでいます。
地表に届く紫外線は、主に紫外線A波と紫外線B波の2種類が知られています。光老化の要因となるのは、紫外線A波のほうです。

A波B波の説明
UVA

紫外線A波。比較的長い波長の紫外線で、オゾン層や雲、窓ガラス等を通過します。肌の真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチン等を劣化させる要因に。同時に線維芽細胞にもダメージを与え、肌の生まれ変わりに悪影響を及ぼします。年間通して照射量がほぼ一定なのも特徴です。

UVB

紫外線B波。比較的短い波長の紫外線で、雲や窓ガラス等である程度遮断されます。主に肌の表皮層に到達し、皮膚が赤くなる“サンバーン”を引き起こします。春先から徐々に照射量が高まり、夏場にピークを迎えます。

老化の要因である紫外線A波

光老化の主な要因は紫外線A波です。
肌の奥深く、真皮層まで到達し、微弱炎症を起こす要因になると言われています。
また線維芽細胞にダメージを与えたり、細胞内に活性酸素を誘発し、
肌の弾力を支えるコラーゲン線維を劣化させてしまいます。
この紫外線A波を継続的に浴び続けると、深刻な老化サインが発生しやすくなります。
“深いシワ”や“たるみ”などがそれですね。
分かりやすい例えとして、お尻の皮膚を思い浮かべてみてください。
高齢な方でも、お尻の皮膚には深いシワやシミ等は発生しません。
肌が自然に老化するのであれば、本来顔もお尻と同じような皮膚の質感になるはずなんです。
しかし、屋外で過ごす時間が多い方……たとえば私の患者さんでも、農業や漁業に従事されている方は、
顔や首もとにくっきりと深いシワが刻まれやすい傾向にあります。
これは明らかに紫外線による“光老化”の影響といえるでしょう。

光老化防止には紫外線対策を!

老化による深いシワやたるみは、一度発生するとなかなか解消が難しい肌悩みです。
最も大切なのは“予防”を心がけること。
すなわち、UVケアを使用して紫外線をカットすることです。
特に紫外線A波防止効果の目安である“PA値”を確認して、数値の高いものを選びましょう。
UVケアの選び方は“シミ”の項目で詳しくご紹介しているので、ぜひそちらをご参照下さい。

夏に海に出かける時など、紫外線の強い季節にUVケアを使用する方は多いと思います。
しかし、紫外線A波は年間通して地表に降り注いでいますから、冬場であっても油断はできません。
UVケアはぜひ、年間通して使用することを心がけましょう。

あなたのUVケア、本当に足りていますか?

UVケアに表記されているSPF値、PA値を決定するさいは、
1cm四方に2mgを塗布して紫外線の防止効果をテストします。
実際塗ってみると分かると思いますが、これはけっこうな量なんですね。
UVケアに表示されたSPF値を期待するなら、本来はこれだけの量を使用しなくてはいけないということでもあります。
少なくとも、UVケアはケチケチ使ったり、塗る時にムラがあっては意味がありません。
近年では粉体技術の進化から透明感の高いUVケアも続々登場しています。
製品に表記された使用量の目安を守り、そしてムラなく肌全体になじませることを心がけましょう。
意外に塗り忘れしやすいのが、耳とフェイスラインです。
特にフェイスラインは地面からの照り返しも強いため、しっかり保護して下さい。

“うっかり日焼け”にもご用心!

外出時にはUVケアを使用するけれど、室内で使用する方は、まだまだ少ないのではないでしょうか。
しかし、前述の通り紫外線A波は窓ガラスやカーテンを透過して、室内にも侵入してきます。
日当たりの良い窓際で過ごす時などは注意が必要ですね。
また、“洗濯物を干す”“ゴミを捨てに出る”など、ちょっとした外出の積み重ねによっても、
確実に紫外線ダメージは蓄積されていきます。
今はまだ目に見えなくても、将来“シミ”や“シワ”“たるみ”として現れる可能性も忘れてはいけません。

とはいえ、なかなか室内においてまでUVケアを使うことに抵抗がある方も多いはずです。
近年ではSPF値のついた乳液など、紫外線防止効果を有する“保湿アイテム”が登場しています。
感触もみずみずしく、スキンケア感覚で使えるため、こういう製品を上手に利用するのも1つの手です。
さらにカーテンを遮光タイプにする、外出するさいは、たとえ短時間でもつばの広い帽子をかぶる等、
紫外線を防止する工夫を取り入れて“うっかり日焼け”を防ぎましょう。

 

誰にでも起こる“自然老化”、そして深刻な老化サインの原因となる
“光老化”など、この項目ではしわ・たるみの要因について述べてきました。
次の項目では、それぞれの肌悩みに対する“解消法”について考えたいと思います。

>>シワの原因と気になる部位