TOP > ニキビの悩みに専門家の視点で答える「内科医が語る“肌のハナシ”」 > ニキビ編【ニキビの正しいお手入れ方法】

ニキビが出来てしまったら 炎症を鎮静し、跡を残さないためには正しい“治療”と“ケア”が必要です

ニキビの悪化を防ぎ、再発を防ぐために、
実はもっとも大切なのが“日々のスキンケア”です。
自己流のケアで肌状態を悪化させないためにも、正しいお手入れ法をおさらいしましょう。

(1)基本の保湿ケアを見直しましょう

まずは専門医の元で早めの治療を!

前の項目で述べた通り、ニキビの原因の1つは“乾燥”です。
肌が乾燥すると、皮脂の過分泌を促す場合があります(→Click!)
さらに、角層を柔軟に保ち、毛穴の詰まりを防ぐ意味でも、正しい保湿ケアは欠かせません。
まずは化粧水で水分をたっぷり補給し、次に乳液やジェルの油分でフタをして、水分の蒸散を防ぎましょう。正しいスキンケアを続けることで、ニキビの再発を防ぎ、健やかな肌を維持できます。


正しい化粧品の選び方

まず水分ですが、単なる水を塗布しても浸透していきません。逆に、あっという間に蒸発してしまうでしょう。
化粧水はヒアルロン酸やアミノ酸等を配合するなどして、肌への親和性を高め、潤いを肌内部にしっかりと抱え込めるよう工夫をしたものを選びたいですね。

次に油分ですが、オイリー肌の方はべたつきを嫌う傾向があります。
確かに過度の油分はニキビ悪化の要因ですが、角層を柔らかく保ち水分をしっかり肌内部にとどめるには、適度な“油膜”が必要です。
私がオススメしたいのは、程良い油分を配合しつつ、みずみずしい感触のジェル状保湿剤。
化粧水で水分を補給したら、速やかにジェルで肌を包み、潤いを守りましょう。


●塗布するときはコットンで押さえるように

ニキビの炎症がひどい場合、肌への摩擦は厳禁です。
化粧水も乳液も、手のひらでやさしく塗布するか、
コットンに浸透させ肌をおさえるようにそっと塗布して下さい。

(2)ビタミンCの力を借りましょう

ニキビ肌にあらゆる角度から迫る

“ビタミンC”と聞くと、一般的には美白作用をイメージする方が多いかもしれません。
実はビタミンCには、皮脂の過剰な分泌を抑制する働きが認められています。また抗酸化作用に優れ、炎症を起こした肌に発生する“活性酸素”と戦う働きも期待できます。つまり、炎症の悪化や活性酸素による肌へのダメージを防いでくれるわけですね。さらにコラーゲンを生み出す繊維芽細胞の活性化を促すため、ニキビ後の肌修復にも力を発揮しそうです。まさにビタミンCは、ニキビ肌をあらゆる角度からサポートする、頼もしい存在といえるでしょう。


浸透性に優れたAPS

ではビタミンC配合の化粧品なら何でも良いのでしょうか? 

残念ながら一概にそうとはいえません。肌への親和性にすぐれ、かつ浸透後も肌内部で“しっかり働く”ビタミンCが望ましいです。
私が注目しているのは、“APS”というビタミンCの一種です。ビタミンCとリン酸が一体化した構造で、安定性に優れているのが特徴です。肌内部に浸透すると酵素の力でリン酸が外れ、純粋なビタミンCとして力を発揮します。

さらにAPSは、角質細胞のすき間を埋める細胞間脂質とも相性が良く、浸透性に優れています。
このような効果の高いビタミンC誘導体を配合し、かつ低刺激にこだわったスキンケアを取り入れましょう。

(3)UVケアを徹底しましょう

日射しはニキビ肌にも良くない!?

日差しを無防備に浴び続けることは、シミやシワの要因となるだけでなく、ニキビ肌にも悪影響を及ぼします。“紫外線”を浴びると、肌内部に活性酸素が発生し、炎症を悪化させる要因の1つとなります。紫外線防止のためには、UVケアを徹底しましょう。
また太陽光中の“赤外線”は皮膚温を上昇させ、皮脂やファンデーションの酸化を促す可能性もあります。ニキビが気になる時は、長時間日光を浴び続けることを避けましょう。


UVケアは油の酸化に注意

UVケアは、通常ベースに“油”を使っています。
この油の中には、塗布している間に酸化しやすいものもあり、炎症悪化の要因となってしまいます。
また、ごくまれなケースですが、“皮脂に近い油”を採用していると、肌の上で皮脂の過剰分泌と似た状態を引き起こし、ニキビを悪化させることも。
どんなUVケアを選ぶべきかは肌質との相性もあるので、自分にあった商品を探しましょう。
いずれにせよ、“酸化した油”を長時間塗布したままにしておくことが、肌にとっては最も負担となります。
帰宅後は、速やかにメイクを落としましょう。

(4)洗顔のしすぎに注意

ニキビ肌の方の中には、肌のべたつきを嫌って、1日に何度も洗顔する方がいます。
特に男性に多いようですね。これはかえってニキビを悪化させる要因の1つです。
前述の通り、皮脂を奪い過ぎると、肌を守ろうとして皮脂分泌が促される場合があります(←Click!)
さらに力まかせにゴシゴシと洗うと、患部を刺激して炎症を悪化させやすく、注意が必要です。

正しい洗顔法とは?

油は油を使わないと、落ちにくい性質があります。ファンデーションやUVケアは基本的に油分が多いため、
まずは必ずクレンジングでメイクを落としましょう。その後洗顔料で、皮脂や汚れを落とします。
この“Wクレンジング”こそ、美肌を保つ洗顔の基本です。

(1)クレンジング

肌を摩擦しないように、指の腹を使ってやさしくマッサージします。小鼻の脇等、細かい部分は指の腹を使って丁寧に洗いましょう。

(2)洗顔

洗顔料はたっぷり泡立てることが大切です。ピンポン玉大の泡を作り、泡をクッションにして直接肌をこすらないようにマッサージします。

(3)すすぎ

水かぬるま湯でしっかりと洗い流します。すすぎは最低10回以上を心掛け、生え際など洗い残しやすい部分は特に念入りに流します。

(4)拭き取り

拭き取りには必ず清潔なタオルを使いましょう。ゴシゴシこすらず、タオルをそっと肌に押し当てるように水分を吸着するのがポイントです。

“自己流ケア”こそ、ニキビ悪化の要因?!

ニキビ悪化の原因の1つは、自己流の間違ったお手入れです。
下記のような思い込みや勘違いケアを行っていませんか? 今一度確認してみましょう。

化粧品に頼る前に、まずは医師の診察を!

ニキビが発生すると、まずは“化粧品”で何とかしようと考える方が多いと思います。
残念ながら、これがかえってニキビを悪化させる要因の1つです。
オイリー肌用の化粧品の中には、皮脂を奪いやすいものがあり、乾燥による毛穴詰まりに拍車がかかる場合も。
また、抗菌力のある成分の中には、炎症に対して刺激が強いものもみられます。
もちろん、化粧品全てが悪いわけではありません。
しかし患部の状態を適切に判断するという意味でも、早めに専門医での治療をオススメします。
炎症がある程度収まってからは、“化粧品”の出番。
日々の正しいお手入れで肌を健やかに保ち、“ニキビの出来にくい肌”を維持しましょう。


自分で“つぶす”行為は絶対にNG!

一刻も早く治したいからと“自分でつぶす”患者さんが多いことに、私自身驚かされます。これは、絶対に避けるべきです。
爪や手に存在する雑菌が患部に触れると、炎症悪化の引き金になります。
そもそも患部を傷つけること自体、ニキビ跡になるリスクを高めてしまうでしょう。
その一方、“外科的な視点”で考えると、膿を排出すること自体は、理にかなっているんですね。
体内に膿が存在すると患部の治癒も遅れるため、速やかに排出したほうが良いわけです。
しかし、これはあくまで“患部の状態を適切に判断”し“清潔に保った”うえでのこと。
どうしてもニキビが気になる場合は、自身でつぶさず医師の元で圧出してもらいましょう。
保険証があれば、自己負担比率にもよりますが、1,000円程度で受診可能と思われます。


洗顔のしすぎは悪化のもと

これも実に多いケースですが、過剰な皮脂分泌を嫌って、過度の洗顔を繰り返すこと。
結果として、“ニキビを悪化させる”負のスパイラルに陥ってしまいます。
繰り返し述べた通り、皮脂は本来、潤いを守るために分泌します。皮脂が奪われると、肌は“乾燥から守らねば”と、いっそう皮脂の分泌を促してしまうのです。あぶらとり紙を何度も使うのも同様ですね。
さらに、肌をゴシゴシこする洗顔も、ダメージの元。薄い膜が何層も重なった角層に、摩擦は一番のダメージ要因です。正しい洗顔法については別項目で述べていますので、是非参考にしてください。(→Click!)

正しいスキンケアを毎日続けることは、美しい肌を育む大切な習慣です。次は、生活習慣全般について考えてみましょう。
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