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ニキビQ&A ニキビ跡、身体のニキビ、男性のニキビなど
ニキビに関する疑問にお答えします。

ニキビ跡が出来てしまったら

ニキビの炎症がひどいと、完治後の肌に凹凸感が残ってしまう場合があります。
なかなか解消しにくいお悩みである“ニキビ跡”、どうつき合っていくべきでしょうか?

本来は“予防”が一番

肌は毎日再生を繰り返しています。本来はダメージを受けても、新しい皮膚と入れ替わり、修復されるはず。しかし炎症の度合いが激しく、真皮組織にまでダメージが及ぶと、肌本来の再生機能が追いつきません(→Click!)
体のどこかに子供の頃に転んだ傷跡が残っていませんか? それと同じで、肌にも凹凸感が残ってしまうのです。
このように、運悪く一度ニキビ跡が発生すると、元通りのなめらかな状態に戻すのは難しいといえます。
1番の予防は“一刻も早く炎症を抑えること”。炎症が悪化する前に、専門医の治療を受けましょう。
現在美容外科や美容皮膚科においては、レーザー等によるニキビ跡の治療が行われています。
クリニックによって治療法はさまざまですが、個人的には“ピーリング”及びある種の“光治療”が一定の効果を期待できると思っています。ただし、これも限度があるというのが正直なところです。


ピーリングで肌表面のなめらかさをUP!

ピーリングはグリコール酸等の力で、肌表面の角質を穏やかに取り去る施術です。(→Click!)
不要な角質を取り去ることで、肌表面のなめらかさが向上します。
繰り返し行うと毛穴が小さくなったり、浅いニキビ跡なら目立たなくなる場合もあります。
またピーリングに使うグリコール酸には、肌の生まれ変わりを促す働きが認められ、毛穴の内側からふっくらとした弾力感をもたらす働きも。
ただし、深いニキビ跡を改善するのは、限界があるのも事実です。


プラズマ波はニキビ跡の治療にも

「クリニックでできるニキビ治療」の項目でご紹介した「アイクリア」(→Click!)は、“ニキビ跡”にも一定の結果を期待できます。
アイクリアで照射する2種類のプラズマ波のうち、850nm〜890nmの近赤外線は、肌の血流を促す働きが認められています。また線維芽細胞の働きを活性化し、コラーゲンの生成を促す働きも。毛穴を内側からふっくら保つために、一役買ってくれそうですね。
患者さんにとっては、施術時に痛みがなく直後からメイク可能な点も魅力でしょう。ただしそのぶん、ある程度施術の回数を重ねる必要があります。さらに、深いニキビ跡の解消には、やはり限界があるのも正直なところです。

毛穴の肌再生を促すフラクセルレーザー

ニキビ跡に一定の効果が期待できるのが、“フラクセルレーザー”です。
約0.1mmと肉眼で見えないほどの細かいレーザーをドット状に照射していきます。
施術直後は赤みが残り、2〜3日するとかさぶたになります。
肉眼では見えないほどのかさぶたで、肌に触るとザラザラする感じですね。
1週間程度で日焼けした後のように皮がむけてきます。
皮がむけた後の肌は、つるんとなめらかな質感を実感出来るでしょう。
熱の刺激によってコラーゲンの生成を促し、凹凸部分を内側からふっくら保つ働きも期待できます。

ただし、広い範囲に照射する場合は、メイク出来ない期間があること。そして、施術後の紫外線ケアを徹底しなくてはいけません。加えて、なめらかな肌――患者さんが期待するような“元通りの肌”までの修復は難しい場合もあります。 やはり、ニキビ跡が出来る前に、炎症を鎮静すること。これこそがもっとも大切なことといえるでしょう。

身体に出来るニキビ

ニキビは顔だけでなく、“背中”や“お尻”にも発生します。
その原因とは? そして解消法についても考えてみたいと思います。

背中やお尻は、お手入れの空白地帯?

背中やお尻に触れた時、ブツブツ感やざらつきが気になりませんか?
衣服に隠れて気づかないだけで、実はこれらの場所にニキビが出来ている方は少なくありません。
皮脂腺は顔にもっとも集中していますが、もちろん全身に存在します。
顔とボディが異なるのは、ボディのほうが角層が厚いこと。
そして顔と違ってほとんど保湿しないことが多いため、乾きやすいことです。
これらの事柄から毛穴詰まりを起こすと、ボディにもざらつきやニキビが発生します。
加えて、衣服との摩擦も見逃せません。
角層がめくれて毛穴詰まりの原因となったり、すでにニキビが出来ている場合、炎症が悪化することもあります。


ピーリング石けんで不要な角質をオフ

ボディのニキビに対して、患者さんの中には顔と同じグリコール酸のピーリングを希望する方もいらっしゃいます。もちろんこの施術は有効ですが、クリニックの中にはボディへのピーリングを行っていなかったり、コストが高くつく場合もあるでしょう。
一番手軽なお手入れ法は、ピーリング石けんを使うことです。AHA等フルーツ酸の一種を配合した石けんで、汚れを落としつつ、不要な角質も取り除く働きが。毛穴詰まりを防ぐうえに、すべすべの洗い上がりを実感できます。ピーリング石けんは100g前後のものが多く、2,000〜3,000円程で購入できます。ピーリング石けんの使用後は、保湿をお忘れなく。角層が潤うことで、衣服との摩擦を軽減する働きもあります。顔の皮膚と同じように、ボディジェルやクリームでしっかり潤してあげましょう。


頭皮に出来るニキビは皮膚炎の場合も?

頭部は他の部位に比べて太い毛髪が生える部位です。そのぶん毛穴も発達し、皮脂の分泌も活発です。ただ、毛穴の“出口”自体も大きいため、毛穴詰まりを起こすケースはまれといえるでしょう。
ただし、不潔な状態を長期放置している場合は別です。皮脂がこびりついて毛穴が詰まったり、雑菌が繁殖しやすくなります。毎日の洗髪で、地肌を清潔に保ちましょう。そのさいは、決してゴシゴシこすらないこと。地肌のダメージは乾燥や炎症を起こす要因なので、シャンプーはたっぷりと泡立て、指の腹を使って洗いましょう。
もし、頭皮に吹き出物が発生した場合、単純なニキビとはいえない、皮膚炎の一種である可能性もあります。気になる場合は、早めに専門医の判断を仰ぎましょう。

男性のニキビについて

私のクリニックに来院するニキビ患者さんの中には、男性も少なくありません。
ここでは男性特有の“ニキビ発生事情”について、考えてみたいと思います。

男性はそもそもニキビが出来やすい?

大人の女性の肌悩みは圧倒的に“乾燥”が目立ちますが、男性は30代以降も肌がテカリやすい傾向にあります。これは何故でしょう?
男性ホルモン(アンドロゲン)は、皮脂腺の活性に関与すると言われています。男性ホルモンは女性の体内にも存在しますが、当然男性のほうが圧倒的に比率は多いんですね。また、女性ホルモンが周期的に変化するのに比べ、男性ホルモンは40代頃まで常に活発な状態を保ちます。これらの事柄から、男性のほうが皮脂の分泌がさかんであり、ニキビも発生しやすい傾向にあるといえます。


一番の問題は“間違ったお手入れ意識”!

皮脂の分泌が活発なことに加えて、男性ニキビの大きな要因は“誤ったお手入れ意識”にあります。たとえば洗顔の時、力まかせにゴシゴシ洗ったり、洗顔後も特別な保湿をしないという方が多いのではないでしょうか? これらは摩擦でニキビの炎症が悪化したり、毛穴が詰まりやすくなるもとといえます。
あくまで個人的な感想ですが、不用意にニキビをつぶすのも男性のほうが多い気がしますね。ティーンエイジャーの頃に間違ったケアを続けたり、保湿に手を抜くことによって、ニキビ跡が残るとしたら残念なことです。


食生活にも気配りを

特に単身&一人暮らしの男性に多いのが、食生活の乱れから肌荒れを起こすケースです。野菜や果物はほとんど取らず、ラーメンや唐揚げ等、こってりしたものを好む方が多いのではないでしょうか……? ニキビの要因になるのはもちろんですが、将来的には成人病のリスクも高まってしまいます。
とはいえ、自炊はなかなか面倒でしょう。その場合、野菜系の総菜を1品加えたり、マルチビタミンのサプリメントを取り入れるなど、無理のない範囲で栄養のバランスを工夫してみましょう。